着物で困った。こんな事にはなりません様に時には洗い張りとお仕立て直しをお勧め致します。
着物の「丸洗い」と言うとても便利なお手入れ方法があります。着物を着る方ほど活用をされる機会が多いと思います。弊社でもランドリーマシーンを自社染み抜き工房に導入しております。が、しかしあまりお勧めはしておりません。この写真の上等な小紋は解き洗い張りお仕立て変えを長い間される事なく、丸洗いのみでお手入れして来たものです。よく見ると、生地が擦れて向こう側が透けて見えるのが分かるでしょうか。女性の着物で最も傷みやすい身八つ口の部分です。途中で洗い張り仕立て変えをされていたらここまでなる前に修復が出来たのですが、今回は残念ですが着物として同じ寸法でお仕立てするのは難しそうです。後ろに当て布をして等の方法はあるにしても、大きな工事になりそうです。自社でサービスを提供していながらお勧めしないとは変なお話ですが、これはあくまで回数や商品品質によって使い分けをされた方が良いと言うお話です。着物はお仕立てを前提に作られた究極のエコ衣服です。解けば重傷だけで8つのパーツに別れ、繋ぐと元の反物の形状に戻ります。これを一度洗い張りと言う水洗い工程にかけると、ジーンズを洗濯した後の様に布目が整いピシッとした状態になります。これを再度お仕立てしてあげると多少よれていた物が蘇った様にシャッキリと着ることが出来ます。また、折れ目になって生地に負担を掛けていた部分をずらしてお仕立てする事で生地が避けてしまう事を防ぐ事も出来ます。昔の人は普段着物は毎年一回は洗い張りの仕立て変えをしていたそうです。一家に1人は縫える方がいたそうですから。ただ、現実的にこれを真似することは無理ですので、丸洗いと、洗い張り仕立て変えの上手な組み合わせをお勧め致します。無論お仕立て代は掛かる訳ですが大好きな着物や思い入れのある着物、品質の良いもの程手を掛けてあげると長く楽しめるのは着物だけではないですから。