着物はじめ事はじめ〜20〜
オンナゴゴロと秋の空。それぞれがステキ!な反物が、たくさん並んだ店内で、あれが可愛い、これも欲しい…欲しいほしいどうしましょう、と、移ろ気な自分のココロと毎度戦う、なんとも幸せな日々を過ごしているカワノです。
さすが秋!
食欲と、買い物欲がとどまることを知りません。
小いけの朝は、社員が全員揃って行う、朝礼から始まります。
小いけの理念を唱和し、各人の作業状況の確認を行って、
職場の教養を考査し、今日も一日、がんばりましょう、と。
背中がピリリと引き締まる瞬間です。
その中で、「柄合わせ」という、着物について理解を深めるための時間が用意されています。
前日の朝礼当番を務めた人が、翌日の柄合わせに備えて、着物と帯、それに帯揚、帯締めなどの小物を合わせて一式揃える。
営業はもちろんのこと、事務に至るまで、それはすべての人が担当します。
入社した当時。
好きなものを好きに合わせて、「自分」が、「着たい」、お着物一式を、自分の好みで選べるこの時間を、実はすごく楽しみにしていました。
早く当番が回ってこないかな、なんて思っていたりして。
けれど最近、ちょっぴり変化。
着物の種類から、季節やTPOに合わせた着方、色使い…。
どのような方が、どこへ着て出かけるためのものという明確な目的を持たせて。
そうしてそれらを考え始めると、付け焼刃の知識しか持たないわたしには、すごくすごく悩む時間になってきたんです。
悩みすぎて、よくわからない…。
そう、わたし。
着物の着方、合わせ方について、実は全然分かっていなかったんです。
ただ好きなものを好きなように着る、“自称「着もの好き」”だった自分。
あぁ、なんともお恥ずかしい。
結局、悩んだ末の時間切れ。
好きなものを手に取って、ドキドキしながら翌日の時間を待つ始末。
けれどもそれはお勉強の時間です。
社長、会長をはじめ、先輩の皆さんからいただく、このコーディネートにはもっと色を添えて、とか、抑えて、とか、こういうところへ着ていくのが相応しい、とか。
もっと、こうしたらいい、の言葉で、わたしの脆い知識は少しずつ広がっていくようです。
あぁ、ありがたやありがたや。
半衿だって、そう。
以前は若かったこともあり、半衿を多く見せる着方が好きで、その、柄が可愛いから…だけで選んでいたのですが、それにも変化が。
年齢を重ねたせいでしょうか。
お顔が映える色を、ちらりとのぞかせるのが素敵だと思うようになりました。
先日の着方教室へ参加する際。
夏物からの衣替えが済んでいなかったため、タンスにしまいっぱなしだったポリエステルの襦袢を引っ張り出しました。
そこに付いていたのは、黒い半衿。真っ黒に、白い蝶の刺繍。
とりあえず、それを着たものの。
なんだか今のわたしにはしっくりきません。
会長が常々わたしたちに言う「好きなものと似合うものはまた別」という言葉が、すっと胸に染み入った瞬間でした。
だけどやっぱり半衿では遊びたい!
これからは似合うもの探しです。
あれこれ悩んで試したい…けれど、付け替えるのが面倒なわたし。
店内で、ちょっとおもしろいものを見つけました。
これを縫わずに、両面テープでつければ半衿の付け替えがえらく簡単になるのでは。
好きなもの、ではなく、似合うものを、その時々に合わせて。
そしてそれをきれいに、より気軽に着られるように。
コロコロと、試行錯誤は続いていきます。
オンナゴコロと秋の空。
素敵な着物人への道は、まだまだ遠い、着物はじめのカワノでした。